世にも歪な恋物語



「チョーシのんな」
「自分はトクベツだとか思ってるわけ」
「うっざ」


 昼休み、女子トイレで、わたしを取り囲んだのは――


「あんた、本気で相手なんてされてないから」


 心くんと仲のいい、女の子たちだった。


「心は誰にでも甘いの。わかる?」
「いちいち真に受けるなっつーの!」


 ……わかってる。


「つりあってないから」


 知ってるよ、そんなこと。


 誰がみても、心くんとわたしは、クラスメイト以上にはなれないこと。


「……もしかして」
「は? なに?」


 聞けないけれど、この子たちが、わたしの私物を隠したのかな。
 壊したり破ったり、したのかな。


 わたしが心くんと話すから?

 でも、心くんは、みんなと話すよ。

 わたしみたいな子は、ふつうに話すことも、許されないの?