世にも歪な恋物語



 かんちがいしちゃ、ダメ。


「だから。一番好きなやつ持ってきて」


 ――――わたしはトクベツじゃ、ない。


 心くんは、みんなに優しい。
 平等に優しさを分け与えている。

 もしも、同じクラスじゃなくて。
 偶然となりの席じゃ、なかったら。

 きっと、こんな風に話すこともなかった。


 心くんのとなりにいるべきなのは、わたしじゃない。


 心くんには好きな人がいるかもしれない。

 その子は、わたしと比べる必要ないくらい、かわいいだろう。


 ……カノジョ、いたりするのかな。


 すごくモテるし。

 告白とか、されてるんだろうなあ。


 揺れるな、わたし。

 心くんの言葉に善意はあっても、愛情はないんだから。


「楽しみにしてる。みーちゃん」


 わたしの初恋が、叶うことは、ない。