世にも歪な恋物語



「どないしたん」
「え」
「気に入らん? みっちゃん、のがええ? それとも――みつきちゃん? ストレートに、みつき?」
「み、み、みーちゃんで。ダイジョーブです!」


 心臓もたないよ。


「ほな。みーちゃんな」


 何回呼んでくるの、わたしのこと。

 声かけ一年分消費する気ですか。


 ……録音しておきたかった。


「みーちゃんは。休みの日とか、なにしてるん」


 どうして、そんなこと、聞くのかなって不思議になるものの。

 心くんは会話を繋げる天才っていうか。

 コミュ力の鬼。

 だから、わたしが相手でも、こんな風に会話のキャッチボールをさらりとスタートさせる。


 クラスで浮いていて、自分から話がふれないわたしだからこそ、余計にかまってくれる気がする。


 心くんがいなければ、まだ、誰とも話していなかった自信がある。


 これまで、そうだったみたいに。