「そうじゃないけど。もし、傷のある私がイヤだったら、私は和真を引き留められないから」
「はぁ?芽衣、自分が何を言っているか分かってる?」
「だって。ずっとずっと思っていたことなの。いつか好きな人ができて、そういう関係になる時にね。私の胸にある傷を見たら、引かれるんじゃないかって。いつも怖かった」
「芽衣。よく聞いて。俺さ、芽衣の体が目的で付き合ってるんじゃないの。そりゃね、いつかは芽衣とそうなりたいって思うよ。芽衣の事大好きだし。その気持ちってさ、胸の所に傷があるからって言って無くなるものじゃないでしょ。あまり自分を否定していたら、俺、怒るよ」
「そう、かも知れないけどさ。鏡を見るたびに自分がイヤになるの。その傷を見るたびにね、私って魅力がないんだって」
「芽衣、俺、本気で怒るわ。なんなんだよ、芽衣。俺の気持ちはそっちのけかよ。ずっと芽衣が苦しんでいたのは分かるよ。でもさ、自分に魅力がないとか、言うなよ。俺はどんな芽衣だって大好きなんだよ。その傷だって芽衣の一部だろ。その傷があるからこうして今、芽衣が元気にしていられるんだろ。傷に感謝するくらいの気持ちを持てよ」
「俺がそんなことを気にするヤツだと芽衣に思われていたことの方が俺は悲しいよ」
「ふぇっ、ご、ごめん和真。うわーん」
私は涙が止まらなくなって、大声で泣いた。