あ、涙が出てきた。声を押さえてるから、嗚咽になってしまって。

「え?芽衣?なんで泣いてんだよ。意味分かんねーよ」

そう言って和真が両腕で私を包み込んだ。

「もしかして芽衣、その先を聞いてないの?」

私は頭をコクンと縦に振った。

「はーっ、もうさ、勘弁してくれよ。それじゃ俺があの女に交際を申し込んでるみたいじゃねーかよ。それ最低だろ」

「うん、最低」

「ばか!芽衣のこと悪く言われて俺が黙っていられると思うか?あの女、本当に最悪だよ」

「じゃ、じゃあその先はなんて言ったの?」

「えっ?俺が言うの?今、言うの?」

「言ってくれなかったら私、一生誤解したままだよ。いいの?」

「もうさ、芽衣には勝てないよ、俺」