「ストップ!湊。私たち下の階から注目されてない?」

「おっ!ホントだ。じゃ、丁度いいな。結城――!ちょっと来れる?」

ば、ばか湊!なに余計に目立ってんのよ!

和真どころか、男女バスケ部が2階の私たちを一斉に見た。

和真は「チッ」と舌打ちして渋々2階へ上がってくる。

「なんだよ、まだ練習中なんだけど」

こ、怖いよ、和真。

「それと、芽衣。裸の男となに仲良くやってんだよ」

「えっ?仲良くなんてないよ、こんな変態」

「なんだとー、芽衣!親友の俺を変態扱いするとは、ゆるさーん!」

あぁ、和真の顔が・・・。鬼になってる。

「湊、ストップ!私たちはここに遊びに来たんじゃないでしょ?」

「おう、そうだった。結城、一生のお願いがあるんだ。俺と芽衣に数学と物理を教えてくれないだろうか」

「和真、私からもお願いします。このままだと来年も2年生です。修学旅行、2回行くことになっちゃいます」

「お!それはそれでいいな。芽衣、一緒に修学旅行2回行こうぜ」

「バカ湊!そうならないためのお願いでしょ!」

私は和真の顔を見る。やっぱり怖い顔してるし。

「芽衣には教えてやるよ。でもコイツは知らない」

やっぱりそうなるよね。和真って湊のこと嫌いだよね。

でも、それじゃ困るの。

「和真、お願いします。湊も一緒じゃなきゃ嫌なの」

「あ?なんでだよ。そんなに芽衣はコイツが好きなのか?」

和真、不機嫌極まりない。

「うん、湊のこと大好きだよ。だからお願い!」

「そうだ。俺も芽衣が好きだ。俺たち大親友だもんな」

もう和真は呆れて何も答えてくれなかったから、それを私と湊はいいように解釈して、

『どうもありがとう!』

と、先にお礼を言った。

和真はやってらんねー、とか言いながらもテストまで毎日私たちの面倒を見てくれた。