「なぁ、芽衣を返してくんない?」
振り向くと、和真が怖い顔で近づいてくる。
「結城先輩・・・」
「和真・・・」
私と凛ちゃんの声が被った。
そして、凛ちゃんが和真の冷たい声に固まる。
「和真、顔が怖いよ」
「んあ?怖くねーよ。お前らの話が長いから迎えに来ただけだろ」
「和真はさ、もう少し笑いなよ。その方がモテると思うけどなぁ」
「芽衣、なんかムカツクな。いいのかよ、それで」
「ふふっ、いいんじゃないのぉー?」
こんな掛け合いをしている私たちを見て、凛ちゃんがますます固まる。
あれ?凛ちゃんの緊張を取ってあげようと思っただけなのに。
「凛ちゃん?大丈夫?」
「あ、すみません。結城先輩が女の人と話しているところを初めて見たので、びっくりして」
「へぇ、和真って女子と喋らないの?それ、何キャラ?」
私は和真をからかって笑った。
「うるさいよ、芽衣。それから”凛ちゃん”とやら、ハッキリ言っとくけど、芽衣と湊は何でもないからな。芽衣は俺のものだから。覚えといて」
「はぁ?いつ私が和真にモノになったのよ?」
「ずっと前からだよ。いいからもう行くぞ」
そう言って和真が私の手を引いて歩き出す。
「凛ちゃん、ごめんね。またね!」
やだ、凛ちゃんってば、まだ固まってる。