私は病気のことを悟られないように無理に明るく答えた。
「体はすっごく元気だよ。元気だけが取り柄だもん。ただね、来週からの夏期補習の事を考えてたらさ。自分が情けなくてさ」
「ははっ、もしかして赤点取った?」
「笑い事じゃないもん。しかも2教科だから補習も2倍だよ」
「マジで?芽衣って、お馬鹿さんだったの?」
「お馬鹿って!酷いよ、結城くん」
私は拗ねて結城くんから目線を外した。
「ごめん、ごめん。芽衣の色々なことが知れて嬉しいんだよ。本気でバカにしたわけじゃないから」
「じゃあさ、結城くんはどうなの?頭いいの?お馬鹿なの?」
「ふっ。学校へ行ったらトップ30の張り紙見てごらんよ。なんなら勉強教えてあげてもいいけど?」
そう得意気に言う結城くん。
「なによ、なんかイヤな感じ!」
そう言って私は笑った。きっと結城くんは頭がいいんだろう。少なくとも、私よりは。