「悠。今から僕の家に来ない?」

「え、急にどうしたんですか?」


二人きりになるとすぐにタメ口に戻っちゃう紅蓮先輩もカッコいい。


普段の堅物モードも嫌いじゃない。
私はどっちの紅蓮先輩も好き。


「貴方はどうやら学生としての自覚がないようなので」

「あ!」


今は堅物モードだ……。

ヒョイっと私のテスト用紙を取り上げる。


「赤点は取っていないのは褒めますが、この点数は壊滅的ですね」

「あう……。だ、だって」


こういう時の紅蓮先輩は厳しい。


「本当は家デートを考えていたのですが変更ですね。今から僕の家で勉強会をします。……それでいいですね?」

「……はい」


圧が強すぎて断ることなんて出来ない。


家デートで紅蓮先輩とイチャイチャしたかったけど、この調子だとそれも無理そう。


「だけど、ただ普通の勉強会をしても面白くないので」

「面白……紅蓮先輩、なにか企んでます?」


「なにも。それでは行きましょうか」


心なしか早足だ。

さっきの意味深な発言も気になるし。


私は紅蓮先輩と手を繋ぎながら家に向かうのだった。