「悠が本気で僕を拒絶するならあのときだって途中でやめたよ」

「本当ですか?」


「本当に心から嫌って思うなら、ね。でも、嫌がってる悠を想像したらいじめたくなった」


紅蓮先輩って意地悪っていうより隠れSなのかもしれない。

私は紅蓮先輩の頭の中でどんな状態なの?


「結局止める気はないってことですよね?」

「そうだよ。やっとわかってくれた?」


「私いじめられても嬉しくないです」


素直になれない私は思ってることと反対のことを言ってしまう。


「そんなことない。悠は僕にいじめられたら喜ぶ」

「紅蓮先輩のその自信ってどこから」


あまりにも自信満々だったから思わず聞き返してしまった。


「悠が映画館で見せてくれたあの表情から、かな」

「暗いのに顔なんて見えないんじゃ……」


私は紅蓮先輩のことぼんやりとしか見えなかったのに。

まだ目が慣れてないっていうのもあったんだろうけど。