「あのね、千智ちゃんが思ってるほど紅蓮先輩はそんなに悪い人じゃないよ? それにウワサはただのウワサだし……」


恋人の悪口を聞くと、心が痛い。


「でも、近づかないでって……私はこんなにも悠と仲良いのにっ!」

「千智ちゃん、苦しいよ」


さっきよりも、抱きつく力が強くなった。

千智ちゃんが私を心配してくれるのも十分伝わってくるんだけど。


「シンデレラ、今日は俺と飯どう?」

「いやいや、俺と一緒に食堂で食べようぜ!」


「今日もその……」

「その誘いは全てキャンセルします。何故なら、悠は僕と昼食を食べるからです」


「「「!?」」」


とても低く無機質な声が教室の空気をガラリと変えた。

それは紛れもない、紅蓮先輩だった。


二人きりの時とはまるで別人のような冷たい声。

もしかして私が他の人に誘われてたから怒ってる?