「あ、悠ちゃん見つけた! おーい、悠ちゃん!」


子犬のようにこっちに走ってくる一条君。


その後ろをゆっくりと歩いてくる紅蓮先輩。


「どうして一条君がここに?」

「それ紅蓮お兄ちゃんにも言われたよ。そんなことよりも俺と遊ばない?」


「紅蓮先輩がいいっていうなら……」

「駄目に決まってる。流架、貴方は他の女性と遊んできてください」


「えー、嫌だよ。今は悠ちゃん一筋だもん!」

「!?」


躊躇なく私に抱きついてくる一条君。


「そういえば髪色戻したんだね」

「あ、気がついた? そ、黒に戻したんだ」


チャラかった一条君の金髪はいつの間にか黒になっていて。


「紅蓮先輩に注意でもされたの?」

「ううん。こっちのほうが紅蓮お兄ちゃんに近づけると思って」


「そうなんだ。金髪も悪くなかったけど、黒も似合ってるよ」

「そう? ありがとう。そういう悠ちゃんこそ……って、あれ?」


「?」


一条君にめちゃめちゃ見られてる。


どうしたんだろう?