「紅蓮お兄ちゃん、今の条件でどう?」

「構わない」


「ちょ……。紅蓮先輩、私の意思は無視ですか!?」

「大丈夫、僕は負けたりしない。だから安心して悠」


「紅蓮先輩……」


優しく頭を撫でてくれる紅蓮先輩。


その瞳は覚悟を決めた眼差しで……。


「そんな自信満々でいーの? 紅蓮お兄ちゃんは今スランプなんでしょ?」


そうだった。

紅蓮先輩のスランプはまだなおってない。


「スランプでも流架に勝ってみせる」

「俺だって負けないよ。悠ちゃん、楽しみにしててね。俺が勝ったら、君のココにもう一度……」


「え?」


私の唇に一条君の指が触れる。


「流架」

「紅蓮お兄ちゃん、もしかして怒った? 年上のくせに余裕ないなぁ」


「……」

「紅蓮先輩待ってください。一条君もあんまり紅蓮先輩を挑発するようなこと言わないで」


今にも一条君に掴みかかりそうな勢い。


紅蓮先輩に限って暴力を振うなんてことはないとは思うけど……。


心配になった私はすかさず2人の間に入った。