「悠ちゃん今日もお弁当なんだ。この前は結局食べれなかったし今回は貰ったら駄目？」

「駄目です。悠のお弁当は僕のものですから」


「なんで紅蓮お兄ちゃんが決めるの？ 俺は悠ちゃんに聞いてるのに」

「流架、少しは遠慮というものを覚えてほしい」


「遠慮ってことは完全に駄目じゃないわけだ。ってことで、あーんして？ 悠ちゃん」

「ごめん、紅蓮先輩が見てるから……」


はっきり断ると一条君を傷付けちゃいそうで強い言葉はかけられない。


それ以前に紅蓮先輩の視線が痛い……。


「悠、流架には駄目だけど僕には食べさせてくれるよね」

「あ、紅蓮お兄ちゃんだけズルい！ 紅蓮お兄ちゃんに食べさせた後でいいから俺にも分けて」


私、どうしたらいいの……？


しかも私を真ん中にして座ってるのは何故？


「紅蓮先輩、こういうのは２人きりの時にお願いします」

「わかった。……流架」


「邪魔ですって顔されても出て行く気はないよ。お弁当もらえないなら悠ちゃん自身を食べるからいーよ。紅蓮お兄ちゃんはお弁当でも食べてたら？」

「！？」


一条君に肩をグイッと抱かれ耳を噛まれた。


「流架、昨晩も忠告した通り僕の恋人に触れることは許しません」

「それは聞いたよ？ でも俺も言ったよね。いくら紅蓮お兄ちゃんの彼女だったとしても一歩も譲らないって」


一条君は昨日も紅蓮先輩の家に行ったの？

だけど喧嘩するほど仲がいいって感じでもない。どちらかといえば敵対してるような。


２人が昨日の夜になんの話をしたか私にはわからない。


私はただ平和に過ごしたいだけなのに……。

３人で仲良くお昼を食べるっていう選択肢はないのかな？