「紅蓮お兄ちゃんは俺が欲しいものはなんだって与えてくれた。駄々をこねるとすぐに譲ってくれたし。それが俺の嘘泣きだってわかってても紅蓮お兄ちゃんは怒らなかった。なのに悠ちゃんにだけはご執心で俺にも譲る気がないって感じで殺気まで出して……」

「あの、い、一条君」


「本当はこんなことしたくなかったよ。正々堂々で勝負して勝ったほうがきっと、ううん、絶対気持ちいいから。けど悠ちゃんがあまりにも可愛くて……」


スマホを取ろうと手を伸ばしてる私の腕をグイッと持ち上げて身体ごと引き寄せる。


「覚えておいて。俺は悠ちゃんに夢中だってことを」

「い、一条く……んっ!?」


視界がいきなり真っ暗になった瞬間、一条君の顔がグッと近づいた。


「略奪愛って燃えるよね。……紅蓮お兄ちゃんに話せないことがもう1つ増えちゃったね、悠ちゃん。今したことは2人だけの秘密だよ」


一瞬なにが起こったのかわからなかった。