シンデレラは堅物会長の専属モデルになるようです

「全部美味しそうだからなぁ〜、正直迷う」


ジーッと私のお弁当を見つめる一条君。


「留学期間が長いとさ? 日本食が無性に食べたくなる時があってね」

「そういうときはどうしてたの?」


「ん? 日本食が食べれるお店で食べてた。外国っていっても日本人がいないわけじゃないから。レストランの味も悪くなかったけど、やっぱり家庭の味が感じられるのが俺は好き」

「家庭の味?」


「そうだよ、その家にしか出せない味ってのも存在するでしょ? あ、この唐揚げと卵焼き貰っていい?」

「いいよ。沢山あるし食べて」


私は海外に行ったことがない。


だけど白米とかお味噌汁が毎日食べられない! ってなるのは嫌だな……。

一条君が言いたいことはそういうのと同じ。


「食べさせてくれないの?」

「え!?」


「せっかくだから食べさせてよ。俺、一度でいいからこういう青春ぽっいのしたかったんだ」

「い、一条君は彼女とかいるでしょ……? そういうのは私以外に頼んだほうがいいと思う」


「恋人? まぁ両手で数えるくらいはいるけど〜……。前にも言ったとおり本命じゃないんだ。それに悠ちゃんみたいにお弁当持ってくるタイプの子はいないから」


お弁当持ってくるタイプって……。


「貶してるわけじゃないよ。つまり家庭環境が複雑な子が多いってこと」

「そ、そうなんだ」


また深く聞いてはいけない話題だ。


こういうとき、なんていうのが正解なんだろう?