「なににする?」
わたしが言うと、唯子は「うどん」と答えた。
「うどん?……ああ、そういえば」
昨日、夕飯の材料を買いに行ったとき、明日のお昼にはうどんが食べたいとリクエストがあって、買ってきたんだった。
「あったね、うどん。冷蔵庫に入ってるよ」と、ソファの背もたれの上に顎を乗せた唯人君が言う。
「いやあ、女の子二人の手料理とかとろけるねえ」と、本当にとろけるように言ったあと、思い出したように、「ああそうだった!」と声を上げる。
隣で同じように顎を乗せていて、「どうした?」と言う健人へ、「取り寄せてもらったCD、届いたって連絡来たんだった」と、すっかり落ち着いた様子で答える。
「ごめん、僕ちょっと出かけてくるよ」と、ソファから離れる。
唯子がなにか言おうとして、諦めたように唯人君から目を逸らした。
「なんのCD?」と健人が尋ねると、安心したような顔つきになった。それを見ながら、根は本当におとなしいんだな、と思った。お兄ちゃんにくらい、なんでも訊けばいいのに。
「海外のアーティスト」とだけ、唯人君は答えた。「アーラントビーの」と続いて、健人「好きだねえ」と返しているけれど、わたしにはなにがなんだかさっぱり。
「アーラントビー……?」
まあ、そういうなにかがあるんだろうと思っていると、「違う」と唯子。
「アルファベットのR、アンパサンド、アルファベットのB。リズムアンドブルース。音楽のジャンルの一つ」と説明してくれた。
「へええ」
なるほど、お嬢様は音楽ジャンルにもお詳しいと。
「詳しいんだね」と言ってみたけれど、なにも返ってはこなかった。
わたしが言うと、唯子は「うどん」と答えた。
「うどん?……ああ、そういえば」
昨日、夕飯の材料を買いに行ったとき、明日のお昼にはうどんが食べたいとリクエストがあって、買ってきたんだった。
「あったね、うどん。冷蔵庫に入ってるよ」と、ソファの背もたれの上に顎を乗せた唯人君が言う。
「いやあ、女の子二人の手料理とかとろけるねえ」と、本当にとろけるように言ったあと、思い出したように、「ああそうだった!」と声を上げる。
隣で同じように顎を乗せていて、「どうした?」と言う健人へ、「取り寄せてもらったCD、届いたって連絡来たんだった」と、すっかり落ち着いた様子で答える。
「ごめん、僕ちょっと出かけてくるよ」と、ソファから離れる。
唯子がなにか言おうとして、諦めたように唯人君から目を逸らした。
「なんのCD?」と健人が尋ねると、安心したような顔つきになった。それを見ながら、根は本当におとなしいんだな、と思った。お兄ちゃんにくらい、なんでも訊けばいいのに。
「海外のアーティスト」とだけ、唯人君は答えた。「アーラントビーの」と続いて、健人「好きだねえ」と返しているけれど、わたしにはなにがなんだかさっぱり。
「アーラントビー……?」
まあ、そういうなにかがあるんだろうと思っていると、「違う」と唯子。
「アルファベットのR、アンパサンド、アルファベットのB。リズムアンドブルース。音楽のジャンルの一つ」と説明してくれた。
「へええ」
なるほど、お嬢様は音楽ジャンルにもお詳しいと。
「詳しいんだね」と言ってみたけれど、なにも返ってはこなかった。



