部屋を出ると、「わあ、やっぱりかわいいねえ!」と、健人は目を輝かせた。

 「やっぱり似合う! 最高だよ!」

 写真撮っていいかな、と言う健人を、わたしは、馬鹿じゃねえのとかふざけんなとか言って否定するより先に、睨んだ。彼はしゅんとする。「かわいいのに……」と。

 「最高に似合ってるよ? 天使みたい」

 「ここはコスプレ会場ですかな」

 「いやあ、本当にかわいい。似合うねえ」

 「変わってるねえ、こんな男勝りな女子にこんなかわいい服を着せて楽しむなんて」

 「男勝り? そうかなあ」

 かわいいが有り余った女の子だと思うけど、なんて当然のように言うものだから、こちらまで恥ずかしくなってくる。つい、「馬鹿じゃないの」なんて返してしまう。

 「いいから、ごはんにするよ」