もう一つの副菜は、唯子のリクエストで、冷ややっこにした。ふと売り場を通りかかったとき、「おとうふ……食べたい」と呟いたのが聞こえて、「冷ややっこにしよっか」となった。冷凍食品が安売りされている日だったので、冷凍の輪切りのオクラを買った。

 見てみれば、唯子は主菜のベーコン巻きを、焼くだけというところまで済ませていて、次の指示待ち、あるいはわたしがそれを焼くのを待っている、というところだった。

 「おお、綺麗に作ったね。丁寧だ」

 「唯子は手先が器用なんだ」と唯人君が言う。

 「そうなんだね」とわたしは納得。

 「じゃあ、焼いといて」

 「は?」

 あ、怒った――。

 わたしはにっこり笑って見せる。

 「美味しいの作ってあげるから」

 「別に……」

 お前の料理なんか食いたくねえよ、とでも言っているようなオーラ。――怒らないでください、お嬢様。わたくし相川、必ずやお嬢様のお好みに合ったドレッシングを作って御覧に入れます。