五分後にアラームが鳴るようにと設定された唯人君の携帯電話は、あと何分でアラームを鳴らすのだろう。ずっと飛んで、走って、緊張感にさらされて、息は上がり、心臓も慌ただしく全身へ血液を送っている。その音がうるさいくらいに。
唯子が飛んだその直後に、わたしも飛び上がった。
「唯子!」と唯人君が叫んだときには、すでに彼女の手からボールは離れており、わたしはそれを、健人の方へ飛ばした。
「ナイス」と残して、上手にボールをつきながら、向こうへ走る健人のあとを、わたしと唯子も追った。それぞれ、別の目的を全身に宿して。
視線の先で、健人が高く飛び、ボールを放った。その美しいフォームに見惚れる暇は与えられず、唯人君がそのボールをはじいた。わたしの体も、疲れと一緒にこの競技を覚え始めているようで、ほとんど無意識に、強く地面を蹴った。落ちてくるボールを受け取って、精一杯、飛ぶ。
健人がわたしを呼ぶのが聞こえた。
一度取れば、こっちの点にしてくれるんでしょう――?
わたしはなるべく緊張を解いて、ボールを放った。がしゃんとリングに当たったそれは軌道を大きく変えたけれど、唯子や唯人君が取るよりも先に、高く飛んだ健人がそれを両手で受け取った。一度着地して、休む間もなく、また高く飛ぶ。
そして、綺麗な指先から飛び出したボールは、磁力にでも呼ばれているかのように、リングに触れることもなく、ザッと音を立てて、ゴールに入った。直後、携帯電話がアラームを鳴らした。健人はそっと着地すると、肩で息をしながら、また子供のように笑った。
こういうのをなんと言うのか、いつか、なにかの機会に知った。
「ブザービートだ……!」
唯子が飛んだその直後に、わたしも飛び上がった。
「唯子!」と唯人君が叫んだときには、すでに彼女の手からボールは離れており、わたしはそれを、健人の方へ飛ばした。
「ナイス」と残して、上手にボールをつきながら、向こうへ走る健人のあとを、わたしと唯子も追った。それぞれ、別の目的を全身に宿して。
視線の先で、健人が高く飛び、ボールを放った。その美しいフォームに見惚れる暇は与えられず、唯人君がそのボールをはじいた。わたしの体も、疲れと一緒にこの競技を覚え始めているようで、ほとんど無意識に、強く地面を蹴った。落ちてくるボールを受け取って、精一杯、飛ぶ。
健人がわたしを呼ぶのが聞こえた。
一度取れば、こっちの点にしてくれるんでしょう――?
わたしはなるべく緊張を解いて、ボールを放った。がしゃんとリングに当たったそれは軌道を大きく変えたけれど、唯子や唯人君が取るよりも先に、高く飛んだ健人がそれを両手で受け取った。一度着地して、休む間もなく、また高く飛ぶ。
そして、綺麗な指先から飛び出したボールは、磁力にでも呼ばれているかのように、リングに触れることもなく、ザッと音を立てて、ゴールに入った。直後、携帯電話がアラームを鳴らした。健人はそっと着地すると、肩で息をしながら、また子供のように笑った。
こういうのをなんと言うのか、いつか、なにかの機会に知った。
「ブザービートだ……!」



