それを打ち明けると、唯人君は、大丈夫、と即答した。いやいや全然だいじょばないんだってばと思ったけれど、外に出ると、「五分間でより多くの点を取った方が勝ちとしよう」との案が出た。提案者はもちろん唯人君。
「妨害はなんでもあり!」と彼が言うと、唯子が「よっし」とガッツポーズをした。瞬時に、「ただし!」と唯人君が続ける。「相手に怪我をさせるような、過剰な妨害は禁止だよ。メンバーの誰かが危険と判断したその瞬間に、そのチームは一点失う」
「ええ……」と唯子が唇を尖らせる。「罰重くなーい?」
「そうかな?」
「過剰かどうかなんて、人それぞれ感じ方は違うし」
「まあとにかく、暴力は禁止。足を引っかけるのもだめ」
「ちぇーっ」と、唯子はまだ不満そう。――なんて狂暴なのかしら、この子。わたしを暴力でぶちのめし、二度とこの家に来ないようにとするつもりだったんだわ。
「じゃあ、試合会場に行くよ」と、唯人君はなにやら、建物の裏へ向かって歩く。唯子も健人も黙って続くので、わたしもそうした。
途中、「ごめんね、こんなことに巻き込んで」と、健人が耳打ちした。
裏に着くと、そこには置くだけの簡単な――といってもしっかりした――バスケットゴールが二つあった。ちょっとした試合なら十分にできるくらいで、わたしは驚いた。
「おっ、ちょうどいい石がある」と、唯人君が声を発した。「ほら、チョークみたいに書けるやつ。これで、ちょちょっと線でも書いて、点数を記録しよう」
「五分じゃ辛くない? 忙しいっていうか」
わたしが言うと、「ただ多くの点を取ればいいだけだから、大丈夫だよ」と唯人君が答えた。「記録係が線を書いてる間、チームのもう一人が試合を続けてもいい」
「なるほどねえ」
「一点と二点でもいい」
「引き分けだったら?」
「もうワンゲームやろう」
「ほう……」
まあいいわ、やってやろうじゃないの。
「過剰な妨害は禁止、発覚したら、そのチームは一点失う。それ以外にルールは設けない。五分間でより多くの点を取ったチームが勝ち。チーム分けは……そうだな、僕と唯子、健兄と相川さんにしよう」
「ああ、それがいい」と健人も納得している。「相川さんもそれでいい?」と兄弟が声を重ねて、わたしは「問題ないよ」と頷いた。
敵が誰であろうと、仲間が誰であろうと、勝負は勝負。ただ本気で挑むだけ。せっかく売られた喧嘩よ。言い値で買い取ってやらないと。
わたしは手の指をほぐして、肩と首を回した。
「妨害はなんでもあり!」と彼が言うと、唯子が「よっし」とガッツポーズをした。瞬時に、「ただし!」と唯人君が続ける。「相手に怪我をさせるような、過剰な妨害は禁止だよ。メンバーの誰かが危険と判断したその瞬間に、そのチームは一点失う」
「ええ……」と唯子が唇を尖らせる。「罰重くなーい?」
「そうかな?」
「過剰かどうかなんて、人それぞれ感じ方は違うし」
「まあとにかく、暴力は禁止。足を引っかけるのもだめ」
「ちぇーっ」と、唯子はまだ不満そう。――なんて狂暴なのかしら、この子。わたしを暴力でぶちのめし、二度とこの家に来ないようにとするつもりだったんだわ。
「じゃあ、試合会場に行くよ」と、唯人君はなにやら、建物の裏へ向かって歩く。唯子も健人も黙って続くので、わたしもそうした。
途中、「ごめんね、こんなことに巻き込んで」と、健人が耳打ちした。
裏に着くと、そこには置くだけの簡単な――といってもしっかりした――バスケットゴールが二つあった。ちょっとした試合なら十分にできるくらいで、わたしは驚いた。
「おっ、ちょうどいい石がある」と、唯人君が声を発した。「ほら、チョークみたいに書けるやつ。これで、ちょちょっと線でも書いて、点数を記録しよう」
「五分じゃ辛くない? 忙しいっていうか」
わたしが言うと、「ただ多くの点を取ればいいだけだから、大丈夫だよ」と唯人君が答えた。「記録係が線を書いてる間、チームのもう一人が試合を続けてもいい」
「なるほどねえ」
「一点と二点でもいい」
「引き分けだったら?」
「もうワンゲームやろう」
「ほう……」
まあいいわ、やってやろうじゃないの。
「過剰な妨害は禁止、発覚したら、そのチームは一点失う。それ以外にルールは設けない。五分間でより多くの点を取ったチームが勝ち。チーム分けは……そうだな、僕と唯子、健兄と相川さんにしよう」
「ああ、それがいい」と健人も納得している。「相川さんもそれでいい?」と兄弟が声を重ねて、わたしは「問題ないよ」と頷いた。
敵が誰であろうと、仲間が誰であろうと、勝負は勝負。ただ本気で挑むだけ。せっかく売られた喧嘩よ。言い値で買い取ってやらないと。
わたしは手の指をほぐして、肩と首を回した。



