わかったわよ、行くわよ、行けばいいんでしょう――。
心の中でぶつぶつと言いながら、わたしはベッドを降りた。クローゼットを開けて、シャツワンピースを取り出す。胸から上が茶色になっていて、下は白。
玄関の外は、まだ午前中だというのに、これでもかというほどに暑くなっていた。全身が暑さを感じる中、口の中だけが歯磨き粉の清涼感が残っていて、変な感じ。
暑い暑いと思いながら歩いているときもそうだけれど、それ以上に、信号に止められたときが暑い。なんの嫌がらせだろうと思うくらい。横断歩道の先が、少しゆらゆらと滲んでいる。蜃気楼、というやつ。実際には寒いところでも見られるらしいけれど、やっぱり夏というイメージが強い。ゆらゆらしている地面を見るだけで暑さが倍増する気さえする。
ああ、暑い。せめて信号くらい涼しげな青を見せてちょうだいよ――。
思った瞬間、願いが通じたように、歩行者用の信号が青になった。けれどそれは、涼しい色を見せてというわたしに応えてくれたというよりは、信号が青になったくらいではこの暑さは変わらないと、意地の悪いことを言っているようだった。実際、信号の青を見たくらいでは、気温も体感温度も変わらなかった。
心の中でぶつぶつと言いながら、わたしはベッドを降りた。クローゼットを開けて、シャツワンピースを取り出す。胸から上が茶色になっていて、下は白。
玄関の外は、まだ午前中だというのに、これでもかというほどに暑くなっていた。全身が暑さを感じる中、口の中だけが歯磨き粉の清涼感が残っていて、変な感じ。
暑い暑いと思いながら歩いているときもそうだけれど、それ以上に、信号に止められたときが暑い。なんの嫌がらせだろうと思うくらい。横断歩道の先が、少しゆらゆらと滲んでいる。蜃気楼、というやつ。実際には寒いところでも見られるらしいけれど、やっぱり夏というイメージが強い。ゆらゆらしている地面を見るだけで暑さが倍増する気さえする。
ああ、暑い。せめて信号くらい涼しげな青を見せてちょうだいよ――。
思った瞬間、願いが通じたように、歩行者用の信号が青になった。けれどそれは、涼しい色を見せてというわたしに応えてくれたというよりは、信号が青になったくらいではこの暑さは変わらないと、意地の悪いことを言っているようだった。実際、信号の青を見たくらいでは、気温も体感温度も変わらなかった。



