副菜は、この家にあったものを使って根菜の五目サラダを作った。

あとは、葉野菜が残っているとのことで、ちょうどいい調味料がなかったので、味噌とごま油、一味唐辛子、それから砂糖と、顆粒だし、チューブのにんにくを、残っている葉野菜と適当に混ぜて、チョレギ風サラダを作った。

トウバンジャンやコチュジャンがあれば、もう少しそれらしくできたかもしれないのだけれど、なかったので、なんとなく聞いたことのある情報を頼りに、味噌とごま油、一味唐辛子でそれを真似た。味付け用と真似る用のごま油でべちゃべちゃになりはしないかと心配だったけれど、まあ許容範囲。味は悪くないし、食感も食べられないほどではない。高校生が探り探り作ったにしては上出来。

 それらを、仕切りのついたプレートに盛って、台所を出た。

 ダイニングテーブルにプレートを並べながら、ちらと見てみると、ソファで、唯子が笑っていた。大きな目を細めて、目尻を下げ、口角を上げて、華奢な肩を揺らしている。彼女のあの細い目の前には、唯人君がいる。ああ、本当に大好きなんだなと思う。もしもわたしに対して目を細めても、あんな感じではなく、ぎらりと光るなにかを宿しているに違いない。あんな無邪気な笑みは、向けられるはずがない。

 「相川さん?」と健人に声をかけられて、前を向き直り、「ああ、ごめん」と返す。