ホームルームというのは、授業というのは、実に退屈なもの。今日はこうする、今日の昼休みはこうする――。こういうときはこういう数式を使う、この○○というのはこういう意味、つまり○○○は――。

 わかりましたって、と心の中でため息交じりに相槌を打って、頬杖をついたわたしは窓の外を眺める。

 別に勉強が得意なわけじゃない。塾なんて堅苦しい場所に通っているわけがない。だからもちろん、余裕をぶっこいて窓の外を暢気に眺めているわけじゃない。だけどやっぱり、退屈なんだ。黒板に書かれた文字をただ書き写すなんていうのは。

 窓の外の明るい世界を眺めていると、不意に鼻の奥がむずむずして、わたしはそれに集中した。むずむず、むずむず……。あ、来る――!

 思い切りくしゃみをしたとき、授業終了を告げるチャイムが鳴った。

 「もうちょっとだけやらせて」と言う先生に、だめに決まってるでしょう、と心の中で返す。どれだけ続けるんですか、と黒板に並ぶ文字を眺めているうちに、チャイムが鳴り止んだ。先生たちは、わたしたち生徒がチャイムに三秒でも遅れたら喚き散らすのに、チャイムが鳴り終わってもまだ、黒板に文字を書いている。わたしたちは、それをノートに書き写さなくても、別にいいですよね?

 ああ、どうせだめなんだろうなあと、わたしは渋々、シャーペンを握る。