そんじゃあおれは外で、と、彼は立ち上がる。
「ああ、この部屋、カメラなんか設置してないから、安心していいよ」
「は⁉ なんでそんなこと言うの⁉」
「いや、安心してほしくてさ。相川さん、警戒心強そうだし、大丈夫だよって伝えた方がいいかなって」
「いや、逆効果! カメラとか一ミリも考えてなかったし! 言われたことでめっちゃ気になるんですけど!」
「いや、ないってば。大丈夫、大丈夫。安心して。リラーックス」
すー、はー、と大げさな深呼吸をして見せて、健人は部屋を出て行った。
ああもう、最悪だ。
着替え終わっても、最悪だ、という気持ちに変わりはなかった。
「なんでぴったりなんだよ。まじで気持ち悪い……」
深く息をついて、「済んだけど」と、扉の外に声をかける。
がちゃりと扉が開いて、健人が顔を覗かせる。
「やあやあ、やっぱりぴったりじゃないか! よく似合ってる!」
「まじで最悪……」
「コックさんの服にするかも迷ったんだけど、やっぱり女の子にはメイド服だよなって」
「どういうことだよ。いいんだよ、別に私服のままで」
「ええ……。つまらないじゃないか。どうだい、楽しくなってきたろう?」
「楽しくねえよ」
「こらこらあ。そう男の子みたいな言葉使わないの。楽しくないよお、でしょう?」
「ふざけんな」
「冗談はやめて、だよ」
「失せろ」
唯子の口調や表情を真似て言った。
「おお、怖い怖い」と、健人は大げさに肩をすくめる。
「どこか親近感のある恐怖だねえ、こりゃ」
どういうことだろう、と言う彼に、心の中で、あなたの妹さんですよ、と返す。
「ああ、この部屋、カメラなんか設置してないから、安心していいよ」
「は⁉ なんでそんなこと言うの⁉」
「いや、安心してほしくてさ。相川さん、警戒心強そうだし、大丈夫だよって伝えた方がいいかなって」
「いや、逆効果! カメラとか一ミリも考えてなかったし! 言われたことでめっちゃ気になるんですけど!」
「いや、ないってば。大丈夫、大丈夫。安心して。リラーックス」
すー、はー、と大げさな深呼吸をして見せて、健人は部屋を出て行った。
ああもう、最悪だ。
着替え終わっても、最悪だ、という気持ちに変わりはなかった。
「なんでぴったりなんだよ。まじで気持ち悪い……」
深く息をついて、「済んだけど」と、扉の外に声をかける。
がちゃりと扉が開いて、健人が顔を覗かせる。
「やあやあ、やっぱりぴったりじゃないか! よく似合ってる!」
「まじで最悪……」
「コックさんの服にするかも迷ったんだけど、やっぱり女の子にはメイド服だよなって」
「どういうことだよ。いいんだよ、別に私服のままで」
「ええ……。つまらないじゃないか。どうだい、楽しくなってきたろう?」
「楽しくねえよ」
「こらこらあ。そう男の子みたいな言葉使わないの。楽しくないよお、でしょう?」
「ふざけんな」
「冗談はやめて、だよ」
「失せろ」
唯子の口調や表情を真似て言った。
「おお、怖い怖い」と、健人は大げさに肩をすくめる。
「どこか親近感のある恐怖だねえ、こりゃ」
どういうことだろう、と言う彼に、心の中で、あなたの妹さんですよ、と返す。



