俺様社長は奥手な秘書の初めてを奪う

「じゃあなんで? フランスも日本も一夫多妻制度とかないんですよ」

そう告げた時、突然グイッと力強く腰を抱かれた。

「きゃっ⁉」

顔を上げると社長は不機嫌そうな顔で私を見下ろしていて、その威圧的な視線に肩が震え上がる。

(うう、怖いっ……)

「お前は早く業務に戻れ。ルイ、急ぐぞ」

「分かったよ、快」

怯える私に反し、ルイさんは余裕たっぷりの笑顔だ。
一旦息をつき、会議室に向かって歩き出した彼らを見送る。

(結局ルイさんとちゃんと話せなかった、美晴も諦めきれないようだしどうしたらいいの……)

ハァーッと息をついていると、突然社長はクルッと振り返る。

「芽衣は俺に言われた業務だけをやってればいい。ルイの相手はするな」

「は、はい……」

やけにその命令がエントランスに響く。
姿勢を正した私を、他の社員たちがジロジロと眺めていた。

(はっ、つい油断してた。また変な噂が立つんじゃ……)

彼らの姿が見えなくなり、踵を返したその時だった。

「あの秘書だよね、結城家具の娘って」