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SIDE/ 弓木千隼



『もしもし、千隼くん……?』




電話の向こうから、こちらの様子をうかがうような声がする。



このかの声からは、以前はなかったふわふわした感情がだだ漏れで────正直まだこれが夢なんじゃないかと疑っている自分がいる。



夢ならどうか醒めないでほしいけれど、どうやら夢ではないらしい。





『千隼くーん? 聞こえてますかね』

「……聞こえてるよ」


『あ、よかった! もしもし千隼くん、元気ですか……?』

「元気。つか、さっき別れたばっかじゃん」


『そうだよねえ。えへへ……っ』



かわい。



このかが正式な彼女になって、しばらく経って、そろそろ俺の気持ちも落ち着くんじゃないだろうかと思う頃だけど、まじで、一生落ち着く気配がない。

ばかみたいに浮かれてるんだけど、どうしてくれんだよ。