「これ、他の男としたことない?」 「ないよ……!」 「へー、ないんだ」 どういう意味? 優越感がにじみ出る弓木くんの表情に、疑問に思う。 「弓木くんは、したことあるの?」 「ない。中瀬がはじめて」 そう、なんだ? すぐ隣の弓木くんを思わずまじまじ見つめると、「近」と弓木くんが焦ったように呟いて。 「ごめん、やっぱ無理」 するっと指の間から、弓木くんの指が抜けていく。 「へっ?」 「今日はこっちな」 手の繋ぎ方が元通りに戻った。 な、何だったんだろう……。