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「遅い!」

「へっ? え、おはようみかちゃん……??」



いつも通りのとある日。

いつも通りの時間(=ぎりぎり教室に駆けこんで間に合う時間)に登校すると、なぜか仁王立ちのみかちゃんに迎えられた。



「こののことずっと待ってたのに全然来ないし、待ちくたびれたんだけど」

「あれっ、なにか約束してたっけ」

「してないけどさー」




してないんかい。


いったい何の用で……と不思議に思うわたしの手に握られたあるものを見つけて、みかちゃんは首を傾げた。




「この、それどうしたの? パスケース?」

「う、うん。じつは、さっき電車乗るときに引っ張ったら、その拍子にひものところがビーンッて引っかかっちゃって、切れちゃって……」



見るも無惨にちぎれてしまったパスケース。

大切に大切に、長い間使っていたお気に入りのものだったんだけど。



長い間使っていたからこそ、劣化してきているのも気づいていた。そろそろ寿命だし買い換えないとなぁ、と思っていた矢先のできごと。



いつ壊れてもおかしくなかったとはいえ、ショックはショックなわけで、今日は朝からツイてないな……とブルーな気持ちなの。