君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



そりゃあ、言われないよりは言われる方がいい。言われたくない人もいるだろうけど、私はそうじゃない。


いざ聞かれると恥ずかしいもので、私をじっと見たままキョトンとしている郁也から目をそらした。


そこは聞かずに一言『好きだよ』とか言ってほしい。


「好きだよ」


……言ってくれるんだ。しかも、そんなにあっさり。


「機嫌直った?」


あぐらをかいていた足を大きく広げて、私の腕をつかんで引き寄せると、俯いている私の顔を覗き込んだ。


形が崩れた両足でもう一度三角形を作り、膝に顔を埋める。


「直らない」


「なんで。機嫌直してよ。好きだよ」


「……ふふ」


「笑ってんじゃねぇかよ」


ついに耐えきれなくなった私は、顔を埋めたままぷるぷると震えてしまって。私の後頭部に、郁也の手がコツンとあたった。


好きだよって、なにそれ。


言ってほしいとお願いしたのは私だけど、言い方がちょっと、可愛い。


くすぐったい胸とにやける頬をおさえられなくてぷるぷると震え続ける私の頬を両手で挟むと、ぐっと上に引き寄せた。


「俺はユズだけが好き。だから、こんな話より、これからの話する方がずっと意味あるだろ?」


私は、自分から好きになった人と付き合えたのが初めてだったりする。