「あと勘違いしてるみたいだけど、ふたりで行ったわけじゃねぇよ。男の後輩に誘われて行ったらあいつもいただけ」
「え」
「あと、うちのサークルけっこうみんな名前で呼び合うから。逆にお前に言われるまであいつの名字知らんかった」
「ええー……」
そういえば彩乃も『サナちゃん』と呼んでいたっけ。
なにそれ。勝手に勘違いして勝手に怒って、私バカみたいじゃん。
いや、でも、先に『みんなで行ったよ』って答えてくれたらよかったわけで。
「なあ、次なに歌う?」
「なにそれ。急に話変えないでよ」
「だって、こんな話いくらしたって無駄だろ」
「無駄じゃないでしょ!」
「無駄だよ。俺は浮気なんかしねぇし、わかるだろ。なんか問題ある?」
そういえば付き合う前に、浮気できるとかできないとか、そんな話をしたこともあったっけ。
問題……ないかもしれない。でも。でも。
「わかんないよ。……だって私、フミに一回も『好き』って言われてない」
嘘。本当はちゃんとわかってる。大切にしてくれていることが、好きでいてくれていることが、ちゃんと伝わっている。
でもたまには、ちゃんと言葉にしてほしい。
「え? 言ってほしいの?」
「そりゃあ、まあ」


