君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



小さくなった理性にそう呼びかけられても、大きな意地がまた邪魔をする。


私はもう気を抜いたら涙が出てしまいそうなほど感情的になっているのに、郁也はいつも通り、顔色ひとつ変えることはなくて。


「なんかって、あるわけねぇだろ。あいつ彼氏いるし」


……は? 彼氏? あの子、彼氏がいるの?


「嘘! あんなにフミにべったりだったのに!?」


「いや、なんかそういう女いるじゃん。だから相手にしてなかっただけだよ」


そういう女……いる。確かに、たまーにいる。


開いた口が塞がらない私を見て、郁也は「なにその顔」と笑った。


なにその顔、と言われても。呆れやら恥ずかしいやらで、言葉が出てこない。


「飯だって、あいつが買ってくるって言うから、じゃあよろしくっつってるだけだよ。並ぶの面倒だし。……でもまあ、ユズが嫌ならやめるか」


やめてくれるんだ。


ああ、もう。嫌だなあ。小さくなっていく意地の代わりに、今度はまた罪悪感が大きくなる。


郁也が斉藤さんのことをなんとも思っていないなんて、飲みに行ったところでなにもなかったことなんて、聞かなくてもちゃんとわかっていたのに。


でも、頭ではわかっていても、とにかく嫌で感情をおさえきれなかった。本当に子供みたい。