お酒が強くて羨ましいとよく言われるけれど、こういう時、もっとお酒が弱かったらなあと思う。酔った勢いで郁也に怒って、酔った勢いで素直に謝れたらいいのに。
彩乃に腕を引かれてお会計を済ませると、さっきまで私に無言の圧をかけていた店員は「ありがとうございました!」と張り付いた笑顔で送り出してくれた。私にもそのスキルがあれば、斉藤さんに笑って言い返せたのだろうか。
外に出ると冷たい風がびゅうっと身体を包んで、さらに酔いが覚めてしまった。そういえば、大寒波がくるとかなんとか、朝のニュースで言っていたっけ。
出入口の横にある木製のベンチには、鼻の頭を赤くした郁也が座っていた。
「じゃあね」と彩乃が去ってからも、郁也となにを話せばいいのかわからない。
「悪酔いしてるって聞いたけど、お前、どんだけ飲んでたの? ……いや、でも、そんなに酔ってなさそうだな」
そうか。彩乃でさえ私が本当に泥酔していると思っていたのに、郁也はちょっと見ただけでわかってしまうのか。
ベンチから立ち上がって、私の頬に手の甲をそっとあてた。
手が冷たい。少し赤くなってる。今日は雪予報になっていたほど寒いのに、ここまで歩いてきたのかな。
私がうだうだ考えている間、外で待ってくれていたんだよね。郁也から連絡がきた時すぐにお店を出ればよかった。


