君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



なんて返せばいいのかわからない。


アルコールのおかげで苛立ちはすっかりおさまったけれど、その代わりに思考回路を支配されてしまったから、うまく話せる自信がない。できれば明日まで待ってほしい。


店員からの「早く出ろ」という無言の圧を背中に感じながらも、スマホを持ったまま硬直していると、再びメッセージが送られてきた。


《着いた》


ビク、と身体が跳ねた。


着いたって、どこに? もしかして、ここに? どうして居場所がわかったの? やっぱり監視カメラが……?


またキョロキョロと店内を見渡す私に、彩乃は再び不信な目を向けることはなく、「監視カメラとかないから」と呆れ顔をした。


郁也は私の行動が見えているようだけど、彩乃は私の心が見えるのだろうか。


「あたしがフミくんに連絡しただけだから」


「え?」


「ユズが悪酔いしてるから迎えにきてって、連絡したの」


「そう、なんだ」


なんだ、犯人は彩乃だったのか。身の毛もよだつほどの恐怖で数年分は縮まった私の寿命を返してほしい。


いや、別に、本気で監視カメラを探したわけではないし、本当はそこまで泥酔しているわけでもいない。


ただなんとなく、わけのわからないことを言いたい気分で、なんなら記憶が飛んでしまうほど酔いたいと思っただけで。