君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



***


郁也と出会ってから一年が過ぎ、空が梅雨入りの準備を始めた頃。


いろんな人のアドバイスを参考にしながら面接を受け続け、ついに念願の内定を獲得にした。


「内定! 出た!!」


「おめでとう〜!!」


私より少し先に内定をもらっていた彩乃に抱きついて、研究室のど真ん中でキャーキャーと喜びを分かち合った。


アドバイスを元に本腰を入れて頑張った結果、なんとか中小文具メーカーの事務の内定をもらうことができた。郁也はいくつか内定が出ていたうちの、大手自動車メーカーの営業職を選んだ。


念願の内定をもらえたことは嬉しいけれど、受けた会社は最終的に三十社を超える。もう二度と就活なんてしたくない。


単位だけはしっかり取っていたおかげでもう講義はほとんどないけれど、卒論があるので大学にはちょくちょくこなければいけない。就活でろくに研究ができていなかった私は、卒論の準備なんか全くできていなくて。


地獄の就活が終わったかと思えば、次は卒論で地獄を見ることになる。


残り少ない大学生活を満喫したいのに、四年間のらりくらりと大学に通っていたツケが、今ドカッと一気に降りかかっているわけである。