口に出してみると、まるでそれが当たり前だったみたいに、なんの違和感もなく、すうっと私の中に溶け込んで、やっと心と身体がひとつになったような気がした。
意志に反して勝手に動いてしまう身体の理由も、うまく説明ができなかったその他もろもろも、そのたった一言で全て解決するのだと気付いた。
「私、フミが好き」
一緒にいる空間が温かくて、郁也が奏でるギターの音が心地よくて、いつからか、もっともっと一緒にいたいと願うようになっていた。
彩乃や友達に聞かれる前からずっと、この関係性に名前がほしいと思うようになっていた。
でもそれは、友達じゃ嫌だった。
「そっか。よかった」
それが“好きだから”だと気付くまでに半年もかかるなんて、私はいつの間にこんなに恋愛音痴になっていたのだろう。
いや、でも、私はたぶん、出会った時からわかっていた気がする。
きっと、彼を好きになるだろうな、と。