今日はまるで告白大会だ。出会ってから半年も経ったというのに、こんなにもお互いのことを知らないなんて。
私たちは今まで、どれだけ音楽の話かくだらない話しかしてこなかったのか。
「初めて『はなびら』聴いた時に、昔すごい好きだった人のこと思い出して号泣しちゃって。だからなんとなく、まだ歌いたくないっていうか」
「そうなんだ。元彼とか?」
「ううん、片想いだったけど……サビの歌詞がすんごい突き刺さっちゃって、聴いた瞬間に号泣だよ、もう」
そういえば、私はいつから彼を思い出さなくなったんだろう。
彼を忘れられないと嘆くことも、彼を想って泣くことも、とうの昔になくなってはいたけれど。それでも、たまに思い出して胸がチクリと痛むことはあった。
けれど今、久しぶりに彼のことを思い出してみても、胸が痛むことはなくて。
「そっか。まあ、大丈夫だろ。塗り替えりゃいいじゃん」
私は郁也の話にあんなに動揺したのに、郁也は私の話に顔色ひとつ変えていない。まあ、単なる昔の失恋話だし、動揺してほしいわけでも同情してほしいわけでもなかったけれど。
ああ、なるほど、私の恋愛話をそんなどうでもよさそうに聞くのね、と思っただけで。
「塗り替えるって?」
「今までの曲もこれからの曲も全部、俺との思い出になるから大丈夫」