君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



一軒目の肉バルと二軒目のおでん屋でも絶え間なくお酒を飲み続けていたから、さすがにお酒が回っているようだ。


彩乃も同じようで、頬を真っ赤に染めて、大きな目がトロンと垂れている。


「さっき、当然のように頭ポンってされてたじゃん」


「あれは……癖?なのかな?」


「……そんな癖ある? 家行ったりもしてるんでしょ?」


「行ってるけど、練習して飲みに行って帰るだけだし」


本音を言えば、最初は家に行く度に少しだけ緊張していた。


初めて行った時は動画の編集作業をして終わったけれど、最近はずっと練習や編集作業をしているわけじゃなく、スマホで一緒にback numberの動画を観たり、たまに全然違う動画も観たり、音楽以外のことを話したりもするようになった。


私も恋愛経験がないわけじゃないから、男の人の部屋に行けば、“そういうこと”がある可能性があることくらいわかっている。


実際に、もしかしてなにかされるのかな、とか、今そういう雰囲気かもしれない、とか、思うこともあるのだけれど。