君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



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十月の名古屋は、梅雨から真夏にかけて街に充満した湿気を枯らしきってはくれなくて。今年は特に記録的な猛暑だとニュースで連日取り上げられていたから、未だに昼間は半袖でも平気なくらいだった。


せっかく買った秋服が無駄になると嘆いていたけれど、下旬になると急激に肌寒くなり、十一月の半ばにはすでに冬の気配を感じさせていた。


季節は変わりゆくというのに、私と郁也はなにも変わらないまま、動画投稿を続けていた。


「ユズ、見ろ! ちょっとずつだけど、再生数伸びてきてる!」


いや、ひとつだけ変わったことを上げるとするならば、最近は郁也との物理的な距離が近くなった。


マットレスを背に並んで座っていた郁也が、右手に持っているスマホの画面を私に見せた。郁也の左肩と私の右肩の隙間は一ミリもない。


こうして肩や膝が当たることは珍しくないし、ふいに頭を撫でられることもある。


初めて抱き締められた日からなのか、郁也の家にくるのが当たり前になったくらいからなのか。ハッキリとは覚えていないけれど、最近の郁也は私に触れることをあまりためらわなくなった気がする。


その度に私がふと頭によぎってしまう思考を、郁也はわかっているのだろうか。いや、たぶん気付いていない。


「ほんとだ! 嬉しいけど、ちょっと恥ずかしいね」