君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



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夏休みに入ると、週に二、三日だったはずの練習日はほぼ毎日になった。


郁也のバイトがある日でも、バイトの前だったり後だったり、時間帯はバラバラ。家が近所なのをいいことに、突然「バイトが早く終わった」と急に連絡がきて呼び出される日もあった。


郁也はバイトとギター以外にやることがないのだろうか。大学で見かける時はいつも誰かと一緒にいて、たまに大勢の人に囲まれていたりして、友達が多いのだと思っていたのに。


まあ、連休中に頻繁に遊ぶような友達が彩乃くらいしかいない私は、一ヶ月半もある夏休みは暇だし、あまり人のことは言えないけれど。


練習場所は相変わらずカラオケと、講義室の代わりに郁也の家になった。


郁也のマンションは決して防音ではない。そんなこともお構いなしにギターを弾く郁也に近所迷惑じゃないかと言ったら、「下手なギターなら迷惑だろうな」と返されて、もうなにも言わないことにした。


苦情がきたとしても、別に私の部屋じゃないし。あれ、でも、一緒にいる時に苦情がきたら、私も謝らなきゃいけないのだろうか。


それは少し癪だけれど、まあ、いいか。