君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



「ああ、『花束』なら誰でも知ってるだろうなと思ったんだよ。back numberの曲は全部好き」


「え? 私も! ファンクラブ入ってるし!」


「まじか。俺も入ってるよ」


私はback numberがメジャーデビューした頃からの大ファンで、動画投稿に頷いてしまった大きな理由でもある。


初めて話しかけられた日、郁也が口に出したのが違うアーティスト名だったら、もしかすると今こうして一緒にいることはなかったかもしれない。


いや、どちらにしろ郁也に丸め込まれていた気もするし、今はもう、郁也がいない日々はあまり想像がつかないけれど。


郁也に最初に聞かれた時は、単に人気バンドの名前を出したのかと思っていたけれど、そうじゃなかったのか。


彩乃や他の女の子たちもback numberが好きな子はたくさんいるけれど、ファンクラブに入っていて、全曲好きなんて人と会ったのは初めだ。


驚きと嬉しさが同時にこみ上げてきて、さらにテンションが上がった私は、アルバムやカップリングの曲もいいよね、歌詞が心に染みるよね、ワンフレーズ目からドカンとくるけれど、二番の歌詞が特に深いよね、と、まくしたてるように話し続けた。