君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



「あ、あと、ひとつのことにしか集中できないっていうか。集中すると周り見えなくなるし、確かにちょっと感じ悪くなってるかも」


「それは知ってる。こう!って思ったら一直線っていうか。浮気とかできなそう」


「はは。友達にも、浮気したら即バレるタイプだって言われたことあるな」


確かに、嘘をついたり隠し事をしたりはあまり上手じゃなさそうだ。ちょっと可愛い。まあ、私も嘘をつくのはあまり得意じゃないけれど。


……ちょっと待って。私、なにを考えてるんだろう。可愛い可愛いかっこいいって。まさか、口に出してなかったよね?


私の焦りをよそに、郁也は「次はなに飲もうかな」とメニュー表をまじまじと見ていた。


よかった、たぶん口には出していない。もし出していたとしても、郁也はあまり気にしなさそうだけれど。


ていうか、男友達に『可愛い』とか『かっこいい』とか言ったことくらいあるし、そんなに焦ることでもなかったような。


郁也が選んだのはまたハイボールで、ついでに私のレモンサワーも注文してくれた。けっこう酔っぱらっていそうなのに、それでも気が利くところは変わらないようだ。


「そういえば、フミって『花束』が好きなの?」


「好きだけど、なんで?」


「なんでって、最初に言ってきたから」