君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



深い意味を込めて言ったのなら、もう少しそれっぽい行動をしてほしかった。私ばかり動揺したり声が裏返ったり、アタフタしてバカみたいじゃないか。


あの時にそれっぽい行動をされたとしたら、もっと動揺していたことは目に見えているけれど。


「じゃあ、居酒屋行くか」


床に置いていたショルダーバッグから財布とスマホとキーケースだけ取り出して立ち上がると、それらをデニムのポケットに入れていく。


テーブルに置いていたスマホで時間を確認すると、いつの間にか十八時を過ぎていた。集合したのが十三時だったから、もう五時間も一緒にいるんだ。


練習はいつも二時間程度で、帰宅時間を合わせてもプラス三十分。こんなに長くいるのは初めてだ。


練習の時もそうだったけれど、郁也といると時間が過ぎるのがあっという間すぎる。本当に、毎日均等に二十四時間なのだろうかと疑問に思うほど。


「つっても本山まで行かなきゃあんまり店ないか。どうせなら栄まで行く?」


「ううん、近所でいい」


栄まで行くと地下鉄の時間を気にしなきゃいけなくなるけれど、本山なら徒歩圏内だ。地下鉄なら三分、徒歩なら二十分くらい。


たったの十七分プラスされたところで、どうせまた、あっという間に過ぎてしまうのだろうけど。