「行きたい! 今、めちゃめちゃお酒飲みたい気分。……あの」
「どうした?」
「私、今日、すっっっごい楽しかった。……ありがとう。私に声かけてくれて」
初めて声をかけられてから二ヶ月間、改めて感謝を伝えたことは一度も言ったことはなかったけれど、今ちゃんと伝えなければいけないと思った。
でもこの気持ちを言葉にするのは難しくて、ありきたりな言葉しか出てこない。『ありがとう』だけじゃ、私の中にある感情を表現しきれない。
「はは、笑った」
「え?」
マットレスから起き上がると、私の頭にポンと手を乗せた。
今度は心臓が頭に移動したみたいだ。触れられた部分が、じわじわと熱を帯びていく。
「お前の笑った顔、すげぇ好き。なんか、周りがパって明るくなる感じする」
なにそれ。そんなこと、初めて言われた。
「……そんなこと、思ってくれてたんだ」
「さっき言っただろ。お前のイメージでスタジオ選んだって」
深い意味、あったんだ。
それなのに、あんなに平然と言うなんて、こんなに平然と言うなんて、郁也には照れるとか恥じるとかいう感情はないのだろうか。


