君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



歌っている動画を撮影するだけなのに、どうしてわざわざカメラを三台も用意したのか疑問に思っていたけれど、歌っている私の口元だったり、後ろ姿だったり、ギターを弾く郁也の手元だったりのシーンが、数秒間ごとに切り替わっていく。


動画の下部分には、最初のテロップと同じ色と書体で歌詞が書かれていた。ギターの音も歌声もずいぶんとクリアになっていて、それぞれの音量を細かく調整したこともわかった。


動画が終わるまで私の顔が映ることは一度もなかった。撮影時に『顔は映さないようにしてね』と念押しすることをすっかり忘れていたけれど、ちゃんと約束を覚えてくれていて、ちゃんと守ってくれたんだ。


「……す、ごい。すごいねフミ。こんなことできるんだ」


想像していたよりもずっと凝っているし、編集作業に二時間もかかったことに納得した。私なら二時間でここまでできただろうか。いや、テロップを入れることすらできる気がしない。


「ここまでやったのは初めてだよ。あー、疲れた」


大きく伸びをして、そのまま背もたれにしていたマットレスに倒れこんで目を閉じた。


「お疲れさま」と声をかけると、うっすら目を開けて「お前もな」と微笑んだ。


「さて。記念すべき初投稿の打ち上げに、居酒屋でも行く?」