「……ごめん。ごめんな。自分勝手なことばっかして、振り回して本当にごめん」
「……うん」
「また会えるから、それまで頑張ろうな」
郁也は目を真っ赤に染めながら、目尻を下げて小さく微笑んだ。
ああもう、ずるいなあ。
ずっと聞きたかった『ごめん』を、どうしてここで言うかな。どうして今さら『また』なんて言うかな。
ちゃんと最後まで悪者になりきってよ。
名古屋に帰ったらすぐに彩乃に連絡をして、栄まで飲みに行って、郁也の愚痴を散々言って、朝までカラオケで歌って。
back numberの曲を歌いながら、思いっきり泣いて、スッキリして、郁也のことなんか忘れてやろうと思っていたのに。
絶対に泣かないと決めていたのに、胸の奥から嗚咽がこみ上げて、視界がじわりと歪んだ。
下を向いて、こみ上げてくるそれをぐっと飲み込んだ。
やっぱり私が好きだって思ってくれた?
違うよね。ただ離れるこの瞬間が寂しいだけだよね。
バカだなあ。嘘、下手だなあ。
--中谷さんのこと、好きなんでしょ?


