君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



同じ時間に一緒に布団に入るなんていつ以来だろう。


おやすみ、と言い合って、背中を合わせて目を閉じた。


たったの数分後に寝息が聞こえ始めると、しばらくして寝返りを打った郁也は、後ろから私の肩に腕をまわした。背中から郁也の体温が伝わってくる。


ああもう、ずるいなあ。


もっと帰ってきてほしいって言ったら怒ったくせに、どうして今日は帰ってくるの。


どうして私が作った料理を食べるの。どうして笑うの。


どうして、私を抱き締めるの。


胸元にある郁也の手を、そっと握った。


大きな手。長い指。綺麗な手なのに、指先は硬くて。


最後なんだね--。


フミに触れられるの、もう本当に最後なんだね。


ねぇ、back numberの曲、まだ半分くらいしか撮ってないよ。全曲制覇するんじゃなかったの?


新曲だって、これから歌っていきたかった。郁也のギターの音に乗せて、郁也の隣で。


まだ函館も知床も行ってないよ。北海道だけじゃない、他にも行きたいところ、まだまだたくさんあるよ。


どこへ転勤になってもいいよ。隣に郁也がいてくれるのなら、場所なんてどこでも構わない。


約束したじゃん。結婚しようって、ベタだけど幸せな家庭を作ろうって、ずっと一緒にいようって、約束したじゃん。