君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



もっと早くそうしていたら、もしかしたらなにか変わっていたのかもしれない。でももう、遅い。
私が立ち止まっている間に、もう収拾がつかなくなってしまった。


今はもう、そんなことをしても、余計に郁也の気持ちが離れていくだけだってわかってる。


だから、今ここに、私の想いの全てを置いていく。


バッグに入れていたB5サイズのノートを出して、パソコン台に広げた。完成目前だった歌詞を、曲を聴きながら修正していく。


歌詞、ずっと書いてたのにな。恥ずかしいけれど、見てほしかった。一番に郁也に見てほしかった。こんなことになるなら、「完成するまで絶対に見せない」なんて言わなければよかったかな。


歌詞ができたと言っても、郁也はきっと、もう喜んでくれない。だから離れるその日まで決して言わない。


これは最後の悪あがき。いつか、郁也が気付いてくれたら。郁也に届いてくれたら--。


郁也のカメラで撮影しようかと思ったけれど、機械音痴の私は使い方がよくわからないから、スマホを固定して録画を開始した。


パソコンに入っている音源を、ボリュームを上げて再生し、先ほど完成した歌詞を歌った。作曲は完成していないようだから、最後まで歌いきることはできないけれど。