君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



例え離れていたって、会ってお酒を交わさなくたって、話を聞いてくれる友達がいたのに。独りなんかじゃなかったのに。


寝室からリビングに移動し、ソファーに腰かけた。こみ上げてくる嗚咽をぐっと飲みこんで、大きく深呼吸をした。


「名古屋に、帰ることになったよ。……たぶん、もう別れることになると思う」


ああ、ほら。


別れる。頭ではわかっていたはずなのに、口に出すとまた涙が溢れた。


わかっていたのに口にできなかった。こんなこと、口にしたくなかった。もう少しだけ、ううん、もっともっと、郁也の彼女でいたかった。


こんな状況になっても、もしかしたら戻れるんじゃないかって、時間が解決してくれるんじゃないかって思ってた。


もうダメかもしれないと口に出してしまえば、全部失くなってしまうような気がして。口にしなくても、この現実はなにも変わらないのに。わかっているのに、それでも。


「……ねぇ、ユズ」


彩乃の声は震えていた。


「あたしね、別れて後悔しないことなんてないんじゃないかと思うんだ」


「……うん」


「でも、自分の気持ちちゃんと言わないと、その後悔がもっと大きくなっちゃうんじゃないかと思って」


「……ん」


「自分の気持ち、ちゃんと伝えて。……あたし、別れてほしくないよ」


自分の気持ち--。