君にさよならを告げたとき、愛してると思った。



地元へ帰るまでの二週間、最後くらいは一緒にいてくれるかと淡い期待を抱いていたけれど、郁也は予想通りほとんど帰ってこなかった。


どこにいるのか見当はついていたから、連絡はしなかった。郁也から連絡がくることもなかった。


仕事を辞めてまたニートに戻って、疲れていないせいか、よく眠れなかった。もう布団に入って目を閉じても無駄だと学んだ私は、毎日ひとりで一緒に投稿した動画を見返していた。


たくさん歌ったな。郁也に初めて誘われた時、絶対に無理だと断っていたのに、いつしか楽しくなっていたな。歌うことが、どんどん好きになっていったな。


ラブソングだって歌ってきたはずなのに、今見るのは失恋ソングばかりだった。


それぞれの動画には、何件かずつコメントがついていた。もし中傷コメントなんて見たら歌えなくなってしまうからと、ちゃんと読んだことはなかったけれど、意外にも肯定的なコメントも多かった。


読み進めていくうちに、一件のコメントが目に入った。


『うまいけど、ただ歌ってるだけ。心に響かない』


心に響かない、か。


初めて見た批判的なコメントに傷つくことはなかった。


仰る通りだ。失恋ソングなのに、歌っている私の声は、自分でもわかるほどどこか弾んでいて。